寄稿のお知らせ

Posted: 2019/05/13 | Author: | Filed under: 雑記 | Tags: , | 寄稿のお知らせ はコメントを受け付けていません。

なんだかあっという間に半年が終わることへのカウントダウン期へ入ってきたなという感じで、もう少しまめに更新したいなと思っていたのにこの体たらくです。お知らせがあったのですが、漏れていました。

5/6文学フリマ発行の「アラザル12号」に漫画を22p寄稿しました。
通販はこちら→https://arazaru.stores.jp/
(10号は佐藤亜紀さんのインタビューあるし、三上さんの連載がスタートするし、マストバイですぜ)

さて、アラザルというのは、批評家の佐々木敦さんの「批評家養成ギブス」講座受講生の有志が立ち上げた批評誌でして、今はもう企画が止まってしまいましたがゲーム企画「罪神」でお世話になった西田博至さんも受講生のひとりであり、そこの経由で知った雑誌です。
批評という字面だけでちょっとマイナスイメージがあったのですが、触れてみたらなんてことはない、いやあるんですけど、単なる作品に対する批判などでなく(こういう印象の方けっこう多いんじゃないかなという気がする、批評という言葉。私だけだったらなんかすまん)もちろんそこも抜きにはできないかもしれませんが、もっと別の、批評対象の作品の見方そのものをアップデートして、新しいものを得られる、みたいな、すごく面白いジャンルだということを知ることが出来た雑誌です。なんていうか批評を全く知らなかった私が入門できた(した)雑誌がこれなので、衝撃はかなりありましたし、眼の前開けたというか。批評というのはもしかしたら身近な存在かもしれない(美術誌、音楽誌、ゲーム誌もそうかも、コラムやレビューの面白さってあると思うけど、そこもっと深くつっこんでったような…)そういうのに気づかせてくれた雑誌。
で、声をかけていただきまして、今回、映画監督のポール・トーマス・アンダーソン監督の映画をネタに漫画を描かせていただきました。大好きな雑誌の中浮いてないといいですけど。西田さんの原稿もあって、一緒に載れたのはうれしいなあ。

私の漫画ですが、本当に不親切で、元ネタの映画を知ってないとなんだかなあな感じかもしれなくて、大人しく何をしようとしたかメモを残しておこうと思います。現代美術もキャプション抜きには作品として未完成だからええじゃんという気持ちで。

アラザルメンバーのdhmoさんに、なんか描きませんかと誘われた時に、オリジナルの短編をやるという発想は全くありませんでした。アラザルはやっぱり私にとっては批評誌なので、急に普通の漫画出てきても読んでる人びっくりしちゃうじゃん、というのがまああって。
そんで私、レオス・カラックス監督のSans Titreというムービーがすごく好きなんですけど、ああいう映像コラージュみたいなのをしたいなと思って、好きな映画のシーンとかをつないでみたいというのが漠然とありました。そのアイデアを伝えた時、dhmoさんからは「カットアップ漫画」を提案してもらったので、その方向にすることにしました。PTA作品になったのは、2018年の新作の「ファントム・スレッド」を見た時に、漫画なら映像に映っていない同じシーンの別角度を描いたりできるじゃないかと思って、ちょうどそういう場面を見つけたからなんですけど、まあ実際やり始めたらそれとカットアップはちょっと方向性が違うぞ、となってしまったわけでそれはできなかった。でもPTAでいくというのはもう動かしたくないなというのがあって。私めっちゃこの監督さんの映画が好きってそれだけなんですけど。
で、監督の映画を一作目から見て、メモとったり好きなシーンをピックしたりしてたのが去年の8月でした。クロッキー帳を埋めたりして。で、これをコマにはめていくのがカットアップかなあと思ったりしたんですが、それ全然漫画にならなかったんですね。ただのコラージュになっちゃう。コマ割ってるからコラージュよりもっと悪くて、ふつうのイラスト作品になっちゃう。漫画っていうのは時間の流れがないとやっぱり漫画じゃないんだなっていうのがあって。でもものすごくシーンを細かく切って、つなぐ、というのをするとカットアップっぽいものができたかもしれないんですけど、その辺りは本当に頭が追いつかなかった。
で、やりたいなと思ったのは、私はPTA作品の、後半に行くほどどんどん坂を転がっていく変なスピード感とか、最後にちょっと上がる感じ(悪い場面と良い場面と映画によりますが)がすごく好き。多分自分もこういうのしたいんだろうなみたいなのがある。だからその流れを、シーンを組み合わせてちょっと再現できないかなと思ってネームづくりをしました。お酒と薬物で駄目になる男とか女とか大好物じゃん、みたいなのもあって、そういうシーンを書き出したりして。
本当はthere will be bloodのH.W.を軸に色々やってみようとしてたんですが、(この映画だとプレインビューとイーライの話が多いけど見るほどH.W.とプレインビューに目がいってしまう自分…笑)私の中ではthe masterの存在感がやばくてわちゃくちゃになってしまった。映画見返しまくってたらやっぱりthe master好きすぎじゃん。駄目だこれ、ここ拾わないと駄目じゃん、みたいなのを結構繰り返して、ネーム自分でもびっくりするくらい直しました。でも、なんか「こういうのがしたい」に対して自分の中でこれでいいんだ!っていう納得感というのは最後まで得られなかった感じ。原因わからないんですけど、もっと頭の回転良くてピースがばちばちってはまりまくって最高に気持ちいいネームみたいな、そういうのにはならなかった。実力不足を感じました。
絵もすごく悩みました。自分の絵が実写向けでないのわかってたので、そこのギャップにはすごく苦しんだ…変な似顔絵みたいにしたくないけど、自分すぎる絵も絶対にやりたくない!みたいな狭間でずっと逃げたかったな〜。うまい人に描いてほしいみたいな。だからこう、絶対に自分が一番できる絵にしてなんとかしようと思って、今回はトーン絶対に使わない、ペンで描く、という縛りをやっています。紙はマルマンのクロッキー帳の裏面。

タイトルは大好きなJoanna Newsomちゃんの三枚目のアルバムのタイトル「Have One on Me」を使わせてもらいました。一杯おごるよ、という意味であってる?お酒で始まるからと思って(単純…)ジョアンナちゃんのSapokanikanのPVを撮っているのがPTA監督、あとインヒアレント・ヴァイスにも占い師役で出ています。詞も引用させてもらっています。これアルバムについてる和訳けっこうむちゃくちゃなのか、はてなダイアリーに匿名の和訳が上がっている…笑。そのけっこうむちゃくちゃな訳文も好きなのは好きなんですけど。
肝心の「ファントム・スレッド」は全然入れられなかった。ちょっと今までの作品と違うかも〜というのがあったのはあったしバランス的にもどうにも入れづらかったのもあって。そしたらdhmoさんがちょうど「ファントム・スレッド」評だったのでナイスやんという感じになったのでした。これは読ませてもらったんですけど、語り口が軽妙で楽しかったし、なるほど感も良かった。

映画知らない人でも、絵的に面白くなっていたら嬉しいなと思います。で、機会があれば是非見てほしいです。
映画って本当に見るとこ多いんだな〜と思って。作画しながら映画流してたんですけど、あ、このシーンは数日間じゃなくてたった1日のシーンじゃん!とか、着てる服でわかったりとか。色々発見あって面白かった。割ときつい山登りでしたけど勉強になりました。ありがとうございました。


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